萩尾望都の世界―文学とアート、そして共生するジャンル
2021年03月15日公開
講座名
萩尾望都の世界 ― 文学とアート、そして共生するジャンル
日時
平成22年12月19日14時30分~16時00分
場所
九州国立博物館 一階 ミュージアムホール
【出演者】
萩尾望都(マンガ家)
米村典子(九州大学芸術工学研究院 准教授)
大城房美(筑紫女学園大学英語学科 准教授)
【主催】
筑紫女学園大学英語学科
【共催】
九州マンガ交流部会(第20回例会)、女性MANGA研究プロジェクト
【概要】
1970年代、少年マンガよりも劣ったジャンルと見なされてきた少女マンガがより高い評価を受けるようになるひとつの転機が訪れる。それに大きく貢献したのが、萩尾望都氏をはじめとした「24年組」と呼ばれた少女マンガ作家の作品群であった。
「トーマの心臓」や「ポーの一族」をはじめとして40年に渡り「文学」と「アート」を結びつける作品を創り出してきたその世界は、国内外を舞台に日常からSFまで多様な物語を展開し、視覚的に読者を魅了する。一方でそれは、まさに「マンガ」であることで、「文学」や「アート」の枠を越える新しい可能性をもつ。
西洋近代美術史を専門とする立場から参加した米村典子氏とともに、「共生するジャンル」という副題にあわせ、マンガ作品と視覚文化・文学との関係性に重心を置いて語ることで、アートと文学とマンガの共生の可能性を探った。
米村氏は、作品中に描かれたファッションや絵画、そしてその歴史との関係についてスライドで紹介しつつ検討し、大城は、萩尾氏の作品に見られるアメリカ作家エドガー・アラン・ポーとの共通点は、「ポーの一族」というタイトルや登場人物の名前だけでなく、ポー自身の詩論と構成の論理にあるという立場から分析を行った。
作家本人とともに、その作品の魅力を考える大変興味深い部会となり、萩尾氏からは、「皆さん、好奇心旺盛で、楽しいお仕事でした」という言葉をいただいた。(大城房美)