21世紀以降のMANGAの海外への普及の要因の一つは、「少女/女性マンガ」である。新たに登場した「MANGA」が女性の領域を備えていることが、男性中心であった文化的イデオロギーの存在自体を揺るがしているのは事実である。しかしここで、MANGA 受容は社会的歴史的状況が異なる文化の境界線を越えるメディアの可能性を示しているのか、それとも、フェミニズム的な共有がすでに各文化間にあったために起こった現象なのだろうかという疑問が残る。現在MANGAがグローバルな文化現象を生んでいる一方で、それに関わる女性の歴史や文化は、日本文化以外においては十分認知されていない。従って、私たちはこの疑問に答える術を持たない。ここで、以下の2つの問いが提起される。
1. 海外での少女/女性マンガ受容は、果たしてフェミニズム的触発により各文化の境界線を越えて、女性に受け入れられているのか。
2. それとも、性別にかかわりなく魅惑的な大衆芸術MANGAとして文化を越境しているのか。
本研究は、コミックスという普遍的なジャンルにおいて、歴史化されてこなかった「女性」の文化を、MANGAをキーワードとして再構築しようとする試みである。「アイデンティティ」表現を担うコミックス/マンガ文化を、日本文化と欧米/アジアの関係から改めてとらえ直し、グローバル化するメディアとしてのMANGAが異文化間の「女性」、つまり既存の「男性」というカテゴリーに取り込まれなかった多様な主体性表現にどう関わっているのかを検証する。
【研究計画の要旨】
○国内/海外において、女性コミックス/MANGA文化に関わる資料・文献収集を行う。
○日本/欧米/アジアにおけるMANGA文化に関する研究会/学会/イベントに参加し、国内外の研究者や作家と交流/連携を深め、情報交換/収集の場を構築する。
○日本マンガ学会や京都国際マンガミュージアム(館長養老孟司)と連携をとり、MANGA文化についての国内外の研究の周知と活性化に努める。
○女性コミックス/MANGA展示会開催への協力と日本でのシンポジウム開催(H21)
○女性コミックス/MANGA文化の周知のため、「国際女性MANGA会議」(仮称)を各年度末に開催し、本研究の成果公表を段階的に行う。
○女性コミックス/MANGAに関するデータベースを作成し、アーカイヴを構築する。
<研究メンバー>
<研究の目的>
<本研究の着想に至った経緯>
<本研究の学問的背景>
<本研究の独自性と特殊性>
新年度科研費「女性MANGA研究:グローカル化と主体性表現-—アジアを中心として」
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