― 「女性」を持ち込んだMANGA ―
近年の海外への少女/女性マンガの流出は、コミックスに新しい視点をもたらしている。例えば女性向けマンガの存在を知ったTrina Robbinsは、Great Women Cartoonists(2001)などの著書で、コミックスの歴史から女性作家/読者が排除されてきたことを指摘し、アメリカの女性作家やその作品の存在を掘り起こし、女性不在とされていた欧米のコミックスに画期的な研究的視点を提供した。その後、1970年代における第2波フェミニズムの指導者的役割を果たしたLillian Robinson (Wonder Women: Feminisms and Superheroes [Routledge, 2004])らもまた、女性の主体性に関してコミックスが大きな役割を果たしていたことを指摘している。本研究は、これらの研究を手がかりとして、女性コミックス/MANGAというジャンルにおける主体性の問題を検討し、それまで「女性」不在だったメディアにおいて、欧米/日本/アジア文化の共通のコンテンツとして成長しつつあるMANGAの可能性を探る。