― 本研究における各研究者が担当する主なコミックス/MANGAの領域と役割 ―
研究代表者 大城房美(アメリカ女性コミックスと少女マンガ/MANGA)
日本の少女マンガと海外におけるMANGAや女性コミックスを、フェミニズム的立場やジェンダー論から検証。現在MANGA文化が国内外に「女性」の描き手/読み手を獲得しつつあることが、女性の主体性表現としてのMANGAの可能性とどのような関係があるかを分析する。
研究分担者 中垣恒太郎(伝統的なアメリカンコミックスとその女性の「不在」)
アメリカンコミックスとして認知されてきた歴史を「女性」作家の不在を伴うという視点から再検証。グローバル化するMANGAと女性が不在であるとされてきたアメリカンコミックスが共存する現在のアメリカ大衆文化の中における「女性」の位置を分析する。日本マンガ学会海外マンガ交流部会との連携。
研究分担者 吉原ゆかり([西]欧米文化とアジアからみたMANGA)
MANGA Shakespeare series(London: SelfMadeHero社, 2007)の、韓国語・日本語・スペイン語・中国語などへの翻訳プロジェクト、非英語圏での英語語学教材プロジェクトに関わっている。その活動を活かして、高級文化とポップ・カルチャー、グローバル化とローカル・カルチャーの双方向を取り込むメディアとしてMANGAを分析する。イギリス/ヨーロッパのMANGAアーティストとアジアの研究者との連携をとり、欧米/アジアにおける女性作家とMANGA文化の関わりを検証する。
研究分担者 ジャクリーヌ・ベルント(東欧文化圏における少女マンガ/MANGA)
ヨーロッパのマンガ研究者やアーティストとの連携。国際的なシンポジウムのアレンジと準備の中核。日本における「マンガ」と海外に受容される「MANGA」という比較文化的視点から、ドイツにおける少女マンガ受容と女性コミックスの例を取り上げる。少女マンガを「マンガ」として語ること(「マンガ」としてのアイデンティティ)と、「少女」に着目しながら語ること(女性読者のアイデンティティを支える少女マンガ)との関係を理論的に追究し、「マンガ」や「少女」を根底において特徴づける曖昧さという視点から「アイデンティティ」を再検討する。
研究協力者 溝口彰子(法政大学非常勤講師)(YAOI/Boy's Love)
少女マンガから派生した男性同士の恋愛物語を描く「ヤオイ」(yaoi)ジャンルを、性的欲望をふくめた女性の主体的表現の実験場として研究してきた立場から、ヤオイと百合についてこの研究に情報提供や批評分析の貢献をする。その際は日本国内の動向だけでなく、米国、クロアチア、ブラジルなど、これまでの活動で培ったネットワークから、グローバル化の視点にも貢献する。アメリカ/日本を中心としたヤオイ研究者/アーティストとの連携。
研究協力者 鈴木繁(ニューヨーク市立大学バルーク校助教授)
2008年にカリフォルニア州立大学サンタクルズ校より博士号(文学)取得。コミックス/マンガに関する論文は「SF研究からみたマンガ/コミックス研究:ジャンル、トランスメディア、(トランス)ナショナリズム」ジャクリーン・ベルント編『世界のコミックスとコミックスの世界』、「モンスターから学ぶこと:水木しげるの妖怪マンガと戦争マンガ」『Image [&] Narrative』 など。現在の研究関心はスペキュラティブフィクション、マンガ/コミックス研究、、ポストヒューマニズム、文化理論など。
研究協力者 ジョン A. レント(テンプル大学教授 アメリカ)(コミックス研究の第一人者)
欧米・アジアを中心とした世界中の研究者やアーティストとの交流や連携、研究成果の公表の協力。International Journal of Comic Artの編集主幹であり、Popular Culture Association やInternational Comics Art Forumなど、主要な学会運営に関わる。
研究協力者 トリナ・ロビンス(女性コミックス史研究家/女性コミックスアーティスト)
1966年初めてコミックスをアンダーグラウンドの新聞に掲載し、アンダーグラウンドコミックス運動のパイオニアとして活動を始める。
1970年には、初の女性だけによるコミックス誌It Ain’t Me, Babeを発行。1972年にはWimmen’s Comix Collective (1972-1992)の創設にも関わる。それは、中絶やセクシュアリティといった女性問題を扱った初めてのコミックブックシリーズとなった。アメリカ女性コミックス史研究の先駆者としても数多くの研究書を執筆し、以下の著書がある: